「腸活」という言葉は聞いたことがあるけれど、実際に何なのかはよくわからないという方が多いのではないでしょうか。腸活とは、腸内環境を整えるための生活習慣や食事の改善、運動などのことで、腸内環境が整うことで、健康や美容に良い影響があるといわれています。
この記事では腸活とは具体的に何か、そのメリットと方法、今すぐ始められる簡単な習慣についてわかりやすく解説します。腸活には健康や美容に良い効果が盛りだくさんなので、ぜひ簡単にできそうなことから採り入れてみてください。
目次
腸内環境が悪いと何がいけないの？
腸内環境が悪くなると、私たちの体にはさまざまな不調が現れます。善玉菌は良い菌、悪玉菌は悪い菌だと思われがちですが、単純にそうとは言い切れません。善玉菌・悪玉菌・そのどちらにもなる日和見菌など、腸内の菌のバランスが保たれていることが健康維持にとってはとても大切です。
しかし、加齢やストレス、不規則な生活、抗生物質の長期使用、そして肉類や脂っこい食事の摂りすぎといった生活習慣により、腸内のバランスが乱れてしまうことがあります。こうした状態では、悪玉菌が善玉菌より優位になりやすく、体の中に有害物質が増える原因に。
その結果、便秘や下痢、免疫力の低下、肌荒れなど、体にさまざまな不調を引きおこします。健康な体を保つためには、腸内環境のバランスを整える「腸活」がとても大切。毎日の食事や生活習慣を見直し、腸内細菌にとって心地よい環境を整えていきましょう。
腸活とは？腸活で得られる6つのメリット
「腸活」とは、腸内環境を整えることで体全体の健康をサポートするライフスタイルのことです。腸は「第二の脳」とも呼ばれ、体のあらゆる機能と深く関わっています。腸内環境を良好に保つことで、次のような嬉しいメリットが期待できます。
便秘改善
腸の動きが活発になることで排便のリズムが整い、便秘の改善につながります。便秘が続くと、腸にガスや老廃物が溜まり、ぽっこりお腹や代謝低下の原因に。腸内環境が整うことで、老廃物がスムーズに排出され、お腹周りがすっきりします。
ダイエット効果（肥満予防）
腸内細菌のバランスが整うと、「痩せやすく太りにくい体質」を作ることができるといわれています。そのメカニズムについてみていきましょう。
①腸内細菌が脂肪の蓄積に関係している
腸内には、通称「痩せ菌」と呼ばれる善玉菌と、「デブ菌」と呼ばれる悪玉菌が存在しています。善玉菌が多い腸内環境だと、食べたもののカロリー吸収を抑え、脂肪の蓄積を防いでくれます。一方、悪玉菌が多い腸内環境では、摂取カロリーを効率よく脂肪に変えてしまうのです。つまり、腸内の菌バランスを善玉菌優位に保つことで、太りにくい体質を得ることができます。
②食欲や代謝をコントロールするホルモンにも影響
腸では「GLP-1」や「セロトニン」といったホルモンが作られています。GLP-1は痩せホルモンとも呼ばれ、食欲を抑えて血糖値を安定させる作用があります。セロトニンは満腹感を感じやすくなり、ストレスによる過食を防いでくれるホルモンです。
これらのホルモンの分泌が活発になることで、食べ過ぎの防止や代謝の向上に効果的です。腸活は、食欲コントロール、脂肪の蓄積予防、代謝アップ、デトックスなどさまざまな角度からダイエットをサポートしてくれます。
美肌効果
腸内環境が乱れて悪玉菌が増えると有害物質が腸内で発生し、それが血流に乗って全身をめぐり、肌荒れや吹き出物の原因になります。逆に、腸内環境が整うと、肌のターンオーバーが正常化し、肌荒れや乾燥、紙やつめのトラブル改善にも効果があるのです。
髪や爪の主成分はタンパク質（ケラチン）です。このたんぱく質をしっかり吸収して活用するためには、腸内環境がとても大切です。腸内環境が悪いと、いくら栄養のあるものを食べても栄養素をうまく吸収することができません。腸活をすることで栄養の吸収力が高まり、髪がつややかになり、抜け毛が減り、ハリやコシがでます。また、爪が割れにくくなり、縦スジが減り、伸びが早くなるといった効果もあります。
免疫力向上
腸には、免疫細胞の約7割が集まっています。腸内環境が整うと免疫機能が活性化され、風邪や病気にかかりにくくなるといった効果が期待できます。
睡眠の質の改善
腸内で作られる「セロトニン」は、睡眠に深く関連する「メラトニン」の材料になるホルモンです。腸活によってセロトニンが正常に作られば、深く質の良い睡眠がとれるようになるでしょう。
老化予防（アンチエイジング）
腸内環境が悪くなり悪玉菌が優位になると、有害物質である活性酸素やアンモニア、硫化水素などが発生します。これらが体内に吸収されると、細胞の老化を早めたり、肌のくすみやしわ、シミなどの原因に。
腸内環境を整えることで、細胞の酸化（サビ付き）を抑え、老化を遅らせる栄養素をしっかりと吸収できるようになります。
腸活の基本は「食事」「運動」
腸活の基本は、「食事」と「運動」をバランスよく整えることです。腸活の基本であるこの2つのポイントについて、効果的な取り組み方を紹介します。
1．食事
腸活には、「善玉菌」「食物繊維」「オリゴ糖」「ビタミンB1」を含む食べ物がおすすめです。これらが豊富に含まれている食品を食べることで、腸内環境が整って美容にも健康にも良い効果が期待できます。
それぞれが豊富に含まれている食品を一覧表にしました。
| 栄養素名 | 食品名 |
| 善玉菌 | ヨーグルト・キムチ・納豆・味噌・ぬか漬け |
| 食物繊維 | ごぼう・キャベツ・リンゴ・バナナ・豆類・玄米 |
| オリゴ糖 | 大豆・玉ねぎ・アスパラガス・バナナ・ハチミツ |
| ビタミンB1 | 豚肉・玄米・豆類 |
これらの食品は少しずつでもいいので、毎日食べることがおすすめです。バナナやキムチ、納豆、ナッツなど、調理しなくても食べられるものをストックしておくと習慣化しやすいですね。
2．運動
運動をすると、全身の血流が良くなり、腸の動きが活発になります。また、腸の働きは自律神経に影響を与えているので、運動をすることで副交感神経が優位になり、リラックス状態になることで腸の動きはさらに活発に。
腸活には、ウォーキングやヨガ・ストレッチ、腹筋運動がおすすめです。ウォーキングやヨガ・ストレッチは腸を刺激してぜん動運動を活発にします。また、腹筋を鍛えると、腸を支える筋力がつくので排便がスムーズになります。腹筋がつらい方は、お腹を意識して深呼吸するだけでも一定の効果があるので、ぜひお試しください。
今日からできるお手軽「腸活習慣」
腸活は、食事と運動が基本ですが、誰にでもすぐにできるお手軽「腸活習慣」があるのでご紹介します。運動や食事の改善がすぐには難しいという方は、ぜひ簡単にできる方法から試してみてくださいね。
朝一杯の水を飲む
朝起きてすぐにコップ1杯の水を飲むと、腸が刺激されてぜん動運動が活発に。冷たい水だと腸が冷えて動きが鈍くなってしまうので、常温の水や白湯がおすすめです。コップ1杯程度の水や白湯を、ゆっくり飲むようにしましょう。
食事は少量をよく噛んで、なるべく水を飲まない
食事をよく噛むと、唾液が分泌されて消化酵素が増えます。消化酵素は腸の負担を軽減してくれる働きがあるので、一口当たり30回を目安にしっかり噛むことを意識しましょう。よく噛むことで満腹感を得やすくなるので、食べ過ぎにも効果的です。
また、食事中に水を飲むと、胃酸が薄まって消化が悪くなってしまいます。腸に未消化のままの食物が届くと負担がかかるので、食事中にはあまり水を飲まない方がいいでしょう。
腸を温める
腸が冷えると血流が悪くなり、ぜん動運動が低下してしまいます。冷たい飲み物や生野菜は内臓を冷やすので、飲み物はなるべく常温で、生野菜よりは温かいスープなどを摂るよう意識してみましょう。
お風呂で湯船に浸かることもおすすめです。湯船に浸かると血行が良くなり、腸の働きが活発になります。
まとめ
便秘の改善やダイエット効果、免疫力の向上、さらには美肌やアンチエイジングにもつながる腸活は、日々の小さな習慣の積み重ねで簡単に効果を得ることができます。
朝一杯の水や、食事をよく噛むこと、腸にやさしい食材を選んだり適度な運動を採り入れることで、腸内ので善玉菌が増えて健康的な腸内環境が整うので、ぜひ今日からできそうなことから採り入れて、健康な腸を手に入れましょう！